2025-12-02
HaiPress
囲碁の総本山・日本棋院が、運営の危機に立たされている。
財務状況を分析した経営改革委員会が、現状のままでは4年後に「安全な運転資金の確保が難しくなる」との最終報告を発表。
棋士の退職金や年金の改革に加え、半世紀以上にわたり活動拠点としてきた東京本院(東京都千代田区)の売却移転も検討せざるを得ない状況となっている。(樋口薫)
「棋院の経常収益は30年前の半分」「数字に基づく意思決定が欠けている」

経営改革委員会の最終報告について記者会見する稲田修一副委員長(左)と武宮陽光・日本棋院理事長=東京都千代田区の日本棋院で
10月の経営改革委の記者会見では、元総務官僚の稲田修一副委員長から厳しい言葉が続いた。経費削減策として、棋士の退職金や年金の2割カット案を提示。委員長を務めた武宮陽光・日本棋院理事長は「正直、途方にくれるような思い」と本音を漏らした。
収支悪化の要因に挙がったのが、棋士への手当や福利厚生費などの支払いの割合が増加し、経常収益の半分以上を占めている点。2007年に一般企業の給与に当たる「棋士普及手当」を2割程度削減したが、改善には至っていない。
背景には、囲碁の競技人口の減少が続く中、棋士の人数が多すぎるという問題がある。棋院の現役棋士は約350人で、将棋の棋士の約2倍。将棋界では成績不振に伴う強制引退の制度があるが、囲碁界では引退は本人の意向次第だ。
棋院は既に、年6人の棋士採用枠を2028年度から4人に減らすと発表。稲田副委員長は「一般企業ならリストラをやる状況だが、退職金や年金...
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